天井「天井行き付き値段というのは数月の内高下あり、段々五六十俵も引き上げ、その後上ぐべしとも下ぐべしとも知れぬようになり、又毎日十俵づつも必至 必至と引き上げ、売り買いともに連れ落ちになり、大騒ぎ出る節、上げ留まり 年中行き付き値段なり。」 「大天井の値段と言うのは数ヶ月間にわたり上下しながら上昇し、大幅に上 昇した時点で上げ一服となりその後も上げ続けたあと出来高が減りながらも大 騒ぎするくらい上がった後で、上昇が止まり大天井形成となるのである」とい うことを言っています。ここでは最後に熱狂的な相場となるも出来高が伴わな いケースであり、大天井はまだまだ上がると皆が思うような熱狂のうちに付け るものだということを言いたいのではないかと思います。大騒ぎしているとこ ろで買いたくなることも多いのですがそういったときは、水準を考え、高い水 準のところでは買いを見送ったほうが賢明なのかもしれません。そうすれば 「大天井で買ってしまう」ことは避けられるでしょう。 「天井値段後の下げ相場は五六ヵ月の間、一ヵ月十俵より三四十俵、毎月定 めて下がるものなり。しかれども、その時の模様にて、三ヵ月下げ、四ヵ月目 上がることあり。又五ヵ月目より下がることもあり。六ヵ月皆下がることもあ り。この事は天井値段出で、五六日十日計りの内、右並び値段にても、又少々 安くとも売りつくべし。その月末に二三十俵決して下がるなり。又その次の朔 日より四五日の間専ら心掛け、若し商い出でずば、十日後廿日過ぎまで売るべ し。又、月の朔日より四五日頃迄十日迄も、前月の安値同様、又々五六俵十俵 方も下がる時は決してその月末かえって上がるものなり。此のことよくよく心 得べし。二つ仕舞い、三つ十分、四つ転じ、三位の秘伝なり。この心は天井よ り二三ヵ月はたしかに下がるなり。四ヵ月目には品に寄り上がることあり、危 うし売り方すべからずということなり。」 「天井を付けた後の下げ相場は五六ヵ月の間一ヵ月に10俵から3~40俵づつ 下げるものである。ただ、そのときの状況によって三ヵ月下がって四ヵ月目か ら上がったり五ヶ月目から下がったり、六ヵ月続けて下がったりいろいろであ る。天井を付けた後5~6日から10日位のうちに天井の値段と同じかそれに近い 値段が出たら売るべきであり、そうすれば月末までには2~30俵は下がるもの である。そして、その次の1日から4~5日の間に出来高が増えなければ10~20 日頃までに売るべきである。また、逆に1日から4~5日、10日くらいまで前月 の安値と同じくらいか5~6俵、10俵くらい下がっているときはその月末には上 がるものである。このことは良く覚えておくべきである。『二つ仕舞い、三つ 十分、四つ転じ』というのが三位の秘伝というもので、天井を付けてから、2 月くらいで売りを手仕舞い、3月経てば十分で4月くらいでものによっては上が るものもあるので、逆に買いに入る事を考え下手に売ることはしないほうが良 い。」という意味です。今回の下げ相場も4ヶ月かどうかわかりませんが、徐 々に底打ちを見せるものもあり、「危うし売り方すべからず」と言う感じでは ないでしょうか。ここでは天井形成後の動きを具体的に述べています。是を現 在の相場にそのまま当てはめても意味はないのですが、「二つ仕舞い、三つ十 分、四つ転じ」というのは、この二つ、三つを月と考えず、その相場のサイク ルと考えればこの理論(「三位の秘伝」)現在の相場でも立派に通用するので はないでしょうか。 |